マウスの脳内で甘味を伝える神経細胞を発見したと、生理学研究所(愛知県岡崎市)の研究グループが発表した。哺乳類の脳内で味覚を伝達する神経を特定したのは初めてだという。担当者は「肥満や糖尿病の人が甘いものを好む原因の解明に役立つ可能性がある」と期待する。
8日付の米科学誌セルリポーツで発表した。中島健一朗准教授(神経科学)らの研究グループがマウスを使った実験で、脳幹の「SatB2神経」が甘味を伝達すると突き止めた。
この神経だけを除去したマウスに、コーラと同等の甘さのショ糖溶液を与えると、10秒間になめた回数が通常のマウスの2割以下になった。他の塩味や苦味、酸味、うま味を与えた場合は大きな変化はなかった。脳に装着する小型顕微鏡を使い、甘味溶液の摂取中にこの神経が反応することも観察された。
また、SatB2神経を特別なレーザー光で活性化させると、マウスは味の無い水を甘い溶液のように大量に摂取。部屋の中に、この神経を刺激する光のある場所と無い場所を設けたところ、マウスは光のある場所に長くいたことから、甘味を伝える神経の活性化を好むこともわかった。
中島准教授は「甘味はエネルギ…