宮城県名取市は計655戸ある災害公営(復興)住宅について、家賃収入や修繕費用、国から入ってくる復興交付金を試算し、50年後に差し引き53億円の余剰金が出るとの収支の見通しを明らかにした。今回の震災で被災自治体に用意された補助制度の手厚さが、改めて浮かび上がった。
市は約155億円をかけて復興住宅655戸を整備。2018年12月に全戸完成したことから、2069年までの財政収支を試算し、4月に議会に示した。生活再建支援課によると、今入居している被災者がそのまま住み続け、集合住宅は築50年で老朽化し、解体(除却)すると仮定した。
市の推計では収入は計約154億円。内訳は入居者からの家賃が64億円、家賃の額を抑えるために国が最長20年間出す復興交付金が84億円、これまでの家賃収入や交付金を基金に積み立てたものが6億3千万円。
一方の支出は、約101億円。復興住宅建設に要した起債の元利償還金が22億円、管理費16億円、修繕費37億円、解体費21億円、市が独自に家賃を減免する対策費が4億5千万円。差し引くと、50年後に約53億円の黒字が見込まれる。
公営住宅は、建設費や完成後の管理・修繕費用を家賃収入でまかなう仕組みだが、低所得者向けに家賃を安く抑えなければならないため、国が補助金を出す。東日本大震災では、被災自治体の負担を減らそうと、特例で補助率が優遇されてきた。
一般公営住宅の場合、建設費へ…