中国政府が国民向けに反米意識を高める世論工作を強化している。米国による追加関税の発動以降、報道や会見で反米トーンが強まっており、宣伝戦略により「弱腰」批判を回避する狙いがあるとみられる。ただ、民衆を扇動するような大規模デモや不買運動は起きておらず、決定的な対立は避けたい姿勢もうかがえる。
中国国営の放送局、中国中央テレビ(CCTV)は16日から3日連続で朝鮮戦争を描いた1950~60年代の映画を専門チャンネルで急きょ放送した。いずれも「抗米援朝(米国に抵抗し、北朝鮮を支援する)」をスローガンに、中国の義勇軍が米国に立ち向かう姿を扱ったものだ。CCTVのウェブサイトは「中国人民の士気を鼓舞する作品だ」と紹介。共産党宣伝部の指示による番組放送であることを示唆した。
一方、地方テレビ局などで19日から放送予定だったドラマ「父と一緒に留学する」も突然延期された。米国が舞台の物語で、撮影もほぼ米国で行われたという。延期の理由は明らかにされていないが、香港メディアは「貿易戦が影響している」と指摘した。
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