韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は18日、南西部の光州で、韓国軍が1980年5月に民主化運動を武力制圧した「光州事件」の犠牲者追悼式に出席した。韓国メディアが生中継した演説で「憲法前文に運動の精神を盛り込むとした約束を今まで守れていないことが申し訳ない」と謝罪した。
文氏は大統領就任直後の2017年5月の式典に出席し、光州事件などの民主化運動の理念を憲法前文に盛り込むと表明したが、最大野党の自由韓国党などの強い反対で改正のめどは立っていない。支持率が当時の半分近い40%台まで低迷する中、「約束違反」を認めることで再度、野党側に協力を求める狙いがあるとみられる。
光州事件では、国軍保安司令官の全斗煥氏(のちに大統領)率いる軍が発砲し、150人以上が亡くなったとされるが、今も正確な犠牲者の数はわかっていない。文氏は演説で「虐殺の責任者や(兵士による)性暴力問題、ヘリコプターからの射撃など、明らかにしなければならない真実がまだ多い」と述べ、政府を挙げて事実解明を続けるとした。
会場周辺には、式典に参加する自由韓国党幹部に抗議する多数の市民らも詰めかけ、一時混乱した。同党を巡っては、一部議員が事件の犠牲者を中傷する発言をし、批判を浴びている。(ソウル=武田肇)