欧州連合(EU)からの離脱をめぐり、英国のメイ首相は、英議会が政府の離脱案を支持することを条件に、2回目の国民投票の実施を容認する方針を初めて打ち出した。野党の取り込みを狙ったものだが、反発が与野党に広がり、打開の糸口は見えていない。
EU離脱、再国民投票の是非を採決へ メイ首相が方針
「夏までに法案が通れば、7月末までに離脱できる」。22日の英議会で、メイ氏は、離脱関連法案への理解を求めた。
前日にメイ氏は、法案に盛り込まれる「新たな提案」を公表。労働者の権利や環境保護など10項目あり、円滑な貿易のため、離脱後も一時的にEU関税同盟に残ることを選択肢にするなど、野党の親EU派への配慮を含む内容となっている。法案全文は24日に公開するとした。
注目されるのは、政府の離脱案を前提に、EU離脱の是非を改めて国民投票で問う道を開いた点だ。
とはいえ、再投票の実現性は高いとはいえない。英議会が再投票を問う採決の条件は、まず政府の離脱案に賛成すること。今回の提案は6月初めに採決する法案に盛り込まれるが、これには英議会が既に3回否決した離脱協定案の内容も含まれている。
そもそも、離脱派が勝った1回目の結果を軽視するのかとの批判が根強く、これまでの審議で再投票は多数派の支持を得られなかった。メイ氏自身も21日改めて反対の考えを示した。
メイ氏は協定案自体は変えない一方、EUとの将来関係の大枠を示した「政治宣言」に今回の提案を反映させる考えだ。政治宣言は協定案とセットでEUと合意しているが、協定案と違って法的拘束力がなく、変更は比較的簡単にできる。
提案には与野党双方から批判が出ている。最大野党・労働党のコービン党首は「古い提案の焼き直しで支持できない」と表明。与党・保守党からも「以前の提案より悪い」「次回の採決では反対する」など、厳しい反応が相次いでいる。
英国のEU離脱は当初3月末の…