「望まない性交」は、どのような状況で起きるのか。心理学や医学の研究者らが、31人の当事者にインタビューした結果、顔見知りによる被害が大半で、半数以上は抵抗をしなかったり、できなかったりしたことが分かった。被害者は深刻な影響を受けるにもかかわらず、被害だと認識できるまで時間がかかり、早期の相談につながりにくい傾向も浮かんだ。
「性暴力の被害経験に関する研究」をしたのは、目白大専任講師の斎藤梓さんら9人。25日に東京大で報告会を開き、「同意のない性交は性暴力だという認識を広め、支援の枠も広げる必要がある」と訴えた。日本の刑法では、同意のない性交でも、「暴行・脅迫」などを伴わなければ犯罪とならないため、法改正を求める動きがある。まずは当事者から見た被害の実態を明らかにし、議論の素材にしたいという。
調査では、被害者団体やインターネットを通じて「望まない性交」の経験がある女性に協力を求め、昨年5~11月に31人にインタビューした。応じたのは20~60代の女性で、複数の被害を受けた人もいたため、被害件数は41件だった。
被害を受けた時の年齢は成人後が19件で、未成年時が22件。知らない人から加害を受けたケースは11件にとどまり、残りの30件は家族、上司、友人など顔見知りだった。加害者は39件が男性、2件が女性だった。
行為が起きた状況をみると、就寝中に侵入を受けたなどの「奇襲型」は9件にとどまり、車の中や暗い場所に追い込まれたり、上下関係の中でつけ込まれたりする「エントラップメント(罠〈わな〉)型」が19件だった。3件では被害者が身体的抵抗をし、14件では言葉で抵抗をしたが、過半数の24件では抵抗しなかったり、できなかったりした。警察に相談をしたのは9件あったが、加害者が有罪になったのは2件だけだった。
分析によると、「奇襲型」以外は、被害だと認識するまでに時間がかかる傾向があった。ただ、被害だと自覚できないうちから、心身の不調は続いていた。「自殺を考えた」人が20人いたほか、人が怖くなったり、逆に不特定多数と性関係を持つようになったりする人もいたという。「モノのように扱われた」と感じ、自尊心が低下する傾向が広く見られ、再被害にあう人もいた。
斎藤さんは「初めは、何が起き…