一般住宅に有料で観光客らを泊めるルールを定めた住宅宿泊事業法(民泊新法)。6月に施行から1年を迎えるが、空き家対策など地域の活性化が期待される一方で、近隣住民とのトラブルもある。千葉県内では浦安市で民泊事業に反対する宣言を出した自治会があり、市は難しい対応を迫られている。
「民泊『NO!』宣言のまち」
JR新浦安駅から徒歩10分ほどの同市美浜地区。ある自治会の集会所の掲示板にこんな貼り紙がある。
宣言は「市内でも屈指の静穏で安心、安全のまちには、営利を目的とし、外国人を含む不特定の旅行客が出入りする民泊はふさわしくない」などとする内容。全約220世帯へのアンケートで同意76%、執行部一任21%の結果を踏まえ、2月20日付で宣言した。
自治会によると、きっかけは2016年ごろ一軒の空き家で始まった民泊だった。利用客による騒音、路上喫煙、ごみ処理マナーの問題など迷惑行為があったという。
このため、家主側と昨年8月から話し合いが行われ、トラブルの未然防止の徹底や、火災発生時に備えて延焼保険に加入することなどで合意。その後、大きなトラブルはないが、自治会幹部は「第2、第3の民泊出現を抑制するため、何が可能か、考えついたのが宣言だった」と話す。
県衛生指導課によると、民泊の届け出は県全体で334件(5月24日現在)。浦安市は35件で、松戸市の40件に次いで2番目に多い。内田悦嗣・浦安市長は「羽田空港と成田空港の中間地点にあり、東京ディズニーリゾートだけでなく、東京観光の拠点にもなっているようだ」と話す。
市商工観光課によると、市内では美浜地区を含む4地区で同様の課題を抱えているとみられる。東京都大田区など一部自治体が、こうした状況を見越し、住居専用地域での民泊事業の実施を条例で制限している。
浦安市も昨年3月、県条例で制限する区域を定めるなど必要な措置を講じるよう県に要望書を提出。今年1月にも住宅地として計画的に土地利用を行ってきた市の実情に配慮するよう文書で求めた。
ただ、県は「規制を求める声は広がっておらず、条例制定は検討していない」という。民泊による経済効果を期待したい市町村も多く、一律の規制は難しいというわけだ。
経済界は「過剰な規制は健全な…