東京ディズニーランド(TDL、千葉県浦安市)の元ダンサーの男性(51)が、ひざを痛めて就労できなくなったのは運営会社のオリエンタルランドが安全配慮義務を怠ったためだとして、同社と当時の上司に対して医療費や損害賠償など計約1億5千万円を求める民事訴訟を起こした。19日に千葉地裁で第1回口頭弁論があり、同社は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。
訴状によると、原告の大川英典さんは1995年6月から、TDLで昼や夜のパレードに出演していた。大きな旗を持って踊るなど体に負荷がかかる労働を続けたことでひざや腰を痛め、96年9月に退職。その後、ひざに過度な負担がかかった際に起こる「ジャンパーひざ」や、傷ついた神経が過敏になって激しく痛む「反射性交感神経性ジストロフィー」と診断されたとしている。
大川さんは2005年に船橋労働基準監督署から労災認定を受けた。現在は労災保険の休業給付を受けながら、治療を続けている。今でもひざや股関節に痛みがあり、歩く際は杖を使っているという。
大川さんは閉廷後の記者会見で、就労当時、同社から「出演中にケガをしても、労災ではなく民間の保険を使って治療するように」と指導されていたなどと主張。「上司に痛みがあると伝えても、『うそをつくな』『言われたとおり働くか、今すぐ辞めるか、どちらかにしろ』と叱責(しっせき)され、痛みが続く中で出演を継続し、症状が悪化した」と訴えた。
同社広報部は取材に「係争中の案件のため現時点でのコメントは差し控える」と回答した。(松島研人)