関西電力は、専用のドローンを使って水力発電所の鉄管の内部を点検するビジネスに乗り出すと発表した。危険作業を減らし、点検期間や費用も大幅に減らせるという。まず10月から国内各社に売り込みを始め、海外展開も視野に入れる。
ドローンは、関電などが独自に開発した。全長79センチ、幅28センチ、重さ2キロ。テールと呼ぶ尾の部分を鉄管に常に接触させることで、傾斜のある閉鎖した空間での飛行が安定し、鮮明な画像が得られるという。最長約500メートルの水圧鉄管の劣化について調べることができる。こうしたドローン技術は全国で初めてという。
水力発電の鉄管の点検は、6年に1回程度必要だ。足場を組んでの高所作業も多く危険を伴うが、ドローンなら解消できる。関電の水力発電で試したところ、人力だと17日間かけていた作業が1日で済んだ。費用も半分以下になったという。
全国には約1700カ所の水力発電所があり、大手電力以外にも、自治体などが所有している。岩根茂樹社長は「当面は(関電以外で)全国10カ所程度まで広げたい。海外でも提案し、将来的には工業用水路や農業用水路の点検にも広げていきたい」と話した。(西尾邦明)