27日の日米首脳会談でトランプ大統領が貿易交渉の「8月合意」をにおわせたことについて、日本政府は28日、釈明に追われた。
交渉を担当する茂木敏充経済再生相は閣議後会見で、「双方の利益となるよう、できるだけ迅速に協議を進めたいという期待感を述べたものだ」と指摘し、8月が交渉の期限ではないという見方を示した。世耕弘成経済産業相も「(トランプ氏の発言の)英語の原文では、内容、時期ともに決まったことは言っていない」と述べた。
トランプ氏は27日の首脳会談の冒頭で「おそらく8月に両国にとって素晴らしいことが発表されると思う」と発言した。米国が求める農産物の関税引き下げは国内農家の反発も懸念されるため、合意を今夏の参院選後に引き延ばしたい日本側の意向を理解した上での発言とみられている。
27日の首脳会談後の共同記者会見でトランプ氏は、貿易交渉について「TPP(環太平洋経済連携協定)なんか関係ない」とも発言した。交渉開始で合意した昨年9月の日米共同声明では、日本の農産物の関税引き下げはTPPの水準が最大限とする立場を米国が尊重するとしている。トランプ氏の発言は、この共同声明を無視してTPP以上の譲歩を求めたようにもとれる内容だ。
28日の参院外交防衛委員会では、トランプ氏のこの発言に関する質問が出た。河野太郎外相は「交渉は共同声明の枠組みで行われる」と強調し、TPP以上の関税引き下げはないとも話した。(西山明宏)