福島県内の小学校などに設置している放射線量計(モニタリングポスト)について、原子力規制委員会は29日、線量が比較的低い地域にある約2400台を撤去する方針を撤回し、当面は存続させると決めた。地元から反対意見が相次いだことを受けて転換した。
線量計は、東京電力福島第一原発事故後に約3千台が設置された。維持に年約6億円かかっている。除染が進んで線量が下がり、耐用年数も迫っていたため、規制委は昨年3月、これまでに避難指示が出たことがない市町村の約2400台を3年かけて減らす方針を決めた。
これを受け、昨年6~11月に15市町村で計18回の住民説明会を開いたところ、「廃炉作業中に事故が起こる可能性もあり、いち早く自分の目で線量を確認したい」「災害時に住民が避難する学校などに設置したものは撤去すべきではない」などと、反対意見が大多数を占めた。規制委は、住民の間ではいまも放射線への不安が根強いとして、存続させる方針に転じた。(福地慶太郎)