電気契約を関西電力から別会社に乗り換えさせるために虚偽の説明をしたとして、京都府警は29日、大阪市北区の電力小売り代理店「FAiCE」社長の北岡健太容疑者(32)=同市都島区=ら男6人を特定商取引法違反(不実の告知など)の疑いで逮捕し、発表した。府警によると、2016年4月に電力小売りが全面自由化されて以降、電力小売業者や代理店を同法違反で摘発するのは全国初という。北岡容疑者ら4人は「関与していない」などと否認しているという。
発表によると、逮捕されたのは北岡容疑者のほか、代理店の社員1人と派遣社員としてこの代理店で働いていた4人。派遣社員のうち2人は大学生だったという。
生活保安課によると、逮捕容疑は昨年12月から今年4月、京都市、大阪市、大阪府東大阪市の男女4人の自宅を訪れ、関電との契約を変更させるため、関電の代理店員や関連会社員らを装ったというもの。営業に訪れた際に「請求元を関電から変えると5%ほど料金が安くなる」「電気はこれまで通り関電からの供給になる」などとうその説明をして電気契約を結び、供給元を関電から東京都港区にある電気小売業者に変更させていたという。
府警は押収した資料などから、同社が京都や大阪などで昨年11月以降、約7千件の契約を結んでいたとみている。同社は電気小売業者から勧誘を委託され、契約1件あたり数千円の報酬を受け取っていたとみられ、府警は今後、裏付けを進める方針。
国民生活センターによると、電力小売りの自由化に関する相談は16年度は1306件だったが、昨年度は4854件に増えたという。