順天堂大の研究チームは、血液検査でパーキンソン病かどうかを診断する手法を開発した。2日、米神経学会誌に論文を発表した。チームは2年後の実用化を目指す。手足の震えなどの症状が出る前に発症するかがわかる可能性があり、治療薬の開発にもつながる成果という。
パーキンソン病は高齢者に多い神経の難病。国内に患者は約15万人いるとされる。脳内の神経伝達物質ドーパミンが減ることで、手足の震えなどが起きて体が動かしにくくなる。症状が出るまでに数年かかり、早期発見は難しい。治療はドーパミンを薬で補うなど対症療法しかない。
順天堂大の服部信孝教授らは、健常者49人とパーキンソン病患者186人の血液をとって調べた。患者では「スペルミン」という物質が血液中に大幅に少なくなっていることを見つけた。また、「ジアセチルスペルミジン」という別の物質の濃度にも着目。健常者に比べて患者での濃度が高く、重症者ほど高かった。
これまでは震えなどの症状から診断していたが、この物質を使えば正確で簡単に診断できるほか、重症度をきちんと判別できる。また、症状が出る前に調べて発症のリスクがわかる可能性があるという。チームは今後、スペルミンを生み出す物質を体内に摂取して症状が出るのを遅らせたり、改善したりする治療薬の開発を進める。服部教授は「パーキンソン病は脳の病気だが、血液中にある代謝産物にも変化が出ていたことがわかった」という。
分子神経生物学が専門の岡野栄…