木彫り熊で知られる北海道八雲町で、この春誕生した人形焼きの人気がじわり広がっている。木彫り名人の孫娘が、祖父の熊の顔をかたどって作った「すーさん焼き」。インスタグラムで紹介されたり関連グッズが作られたりして、東京など遠方からも客がやって来る。
JR八雲駅にほど近い同町相生町に今年4月、「すーさん焼き」を売る「コパン」が開店した。仏語で「仲間」を意味する小さな店を、平野百合子さん(71)が夫の和雄さん(72)と切り盛りする。
百合子さんの祖父・故鈴木吉次(きちじ)さんは、木彫り熊づくりの名人だった。もともと酪農を営んでいたが、77歳から趣味で彫り始める。熊撃ちもした吉次さんは熊をよく観察しており、山から木を切ってきては独学で彫り続けた。細かな毛を表現する「毛彫り」技法で、全体に丸みを帯びた愛くるしい姿形が人気だ。
百合子さんは、父が興した運送…