白砂青松で名高い山口県光市の虹ケ浜海岸に、今年も大量のプラスチックパイプが漂着している。カキの産地、広島湾から流出するカキ養殖用のパイプだ。昨年は瀬戸内海沿岸の県内12市町で漂着を確認。山口県の要望を受けて、広島県が流出防止策に取り組んでいる。
「今日は特に多いですね。今までで一番ひどい」
1日午前、海岸で清掃作業をしていた住民(58)はため息をついた。2時間ほどで45リットル入りのゴミ袋6枚分がいっぱいに。前日の雨で海が荒れ、海中に漂流していたパイプが流れ着いたとみられる。
カキの養殖はホタテの貝殻に幼生を付着させて育てる。その貝殻をイカダから海中につるす道具としてパイプが大量に使われる。
県の要望を受け、広島県は養殖から出荷までの全工程で調査を実施。6月の同県議会で、陸揚げしたカキを洗浄する作業でパイプがカキ殻などに紛れこみ、殻の堆積(たいせき)場に運びこまれているのが主因と説明した。
殻は飼料・肥料として再利用されるが、ネットで囲った海中に3カ月~半年ほど沈めて有機物を分解させる必要がある。この過程で、パイプがネットの編み目から流出している可能性が高いという。同県は各漁協に分別の徹底を指導。改善策を盛り込んだ計画の提出を求めている。(三沢敦)