かあさんのせなか 草刈正雄さん(俳優)
北九州にいたころは怖い母でした。悪さをすると「あんた何しよんね!」と、バットを持って追いかけてきました。よそで「親か警察か先生、どれを呼ぶか」と聞かれて「おふくろだけはやめてください」と言ったくらいです。
僕の父親はアメリカ兵で、僕が生まれる前に朝鮮戦争で戦死しました。母一人子一人なもんですから、おふくろはめちゃめちゃ厳しかった。僕は愛情をかけられてないなと思っていました。
早く自立したくて、中学で新聞配達をして、欲しいものは自分で買いました。定時制高校に通いながら雑誌の訪問販売をしたり、スナックでスルメを焼いたり。そこのマスターにモデルを勧められ、おふくろに言うと、「あんたの好きにしていいよ」って。17歳で上京しました。
ところが離れてみると、やっぱ…