国際的に活躍するルーマニア出身のソプラノ歌手テオドラ・ゲオルギューさんが、25年ぶりに武蔵野市を訪れてリサイタルを開く。前回の訪問は高校生だった1994年。少女合唱団の一員として訪れ、地元の家庭にホームステイした。当時、彼女を受け入れたホストファミリーを探し出そうと、市が情報提供を呼びかけている。再会はかなうのか。
ゲオルギューさんは、2010年までウィーン国立歌劇場専属のソプラノ歌手を務めた。15年には歌劇「フィガロの結婚 ~庭師は見た!」(井上道義・指揮、野田秀樹・演出)の伯爵夫人役で来日しているが、その際は武蔵野市を訪れる機会はなかった。
25年前の9~10月、ゲオルギューさんは武蔵野市などで歌った。武蔵野市が近隣7市合同で、友好都市であるルーマニアのブラショフから少女合唱団「カメラータ・インファンティス」を招いたのだ。十代の少女29人が各市でコンサートを開き、ホームステイして交流を深めた。そのなかに16歳のゲオルギューさんがいて、ホストファミリーに浴衣を着せてもらうなどしたという。
「日本が大好きです。もう一度日本に来ることができたらどんなにうれしいでしょう。帰国しなければならないときは悲しくて涙が止まりませんでした」
武蔵野市に残る当時の報告書には、彼女の感想がこう記されている。
武蔵野市は20年の東京五輪・パラリンピックで、ルーマニア選手団を受け入れるホストタウンになった。交流をさらに深めるなかで、今回のリサイタルが実現した。
ゲオルギューさんはフェイスブックに5日、思い出の写真を載せた。「ようこそ“ルーマニア少女合唱団”の皆さん!」と書かれた横断幕を前に笑顔の少女たちが並んでいる。
「今回はソロ歌手としての招待だそうです。とても驚き、うれしい」「武蔵野で私は、私の過去の一部と再会して、音楽への情熱を日本の人たちとわかちあう喜びを感じることでしょう」と再訪への思いをつづっている。
武蔵野市は、当時のホストファミリーとの再会をかなえたいと探しているが、まだ見つかっていない。当時は武蔵野、三鷹、調布、小金井、小平、田無と保谷(現・西東京市)の7市で実行委員会を結成。当時の朝日新聞記事によると、武蔵野、小平、保谷で、ホストファミリー計15世帯を募集した。市交流事業課(0422・60・1806)は、情報提供を呼びかけている。
21日の武蔵野市民文化会館でのリサイタル(武蔵野文化事業団主催)は、すでにチケットが完売。20日には成蹊大学による入場無料のリサイタルもある。ゲオルギューさんは、市内の小学校も訪れる予定だ。
21日のリサイタル終了後、市民が参加できる歓迎交流会がある。午後5時から武蔵野市民文化会館レストランで。会費2千円。定員50人で、市交流事業課に事前申し込みが必要。
成蹊大学(吉祥寺北町3丁目)でのソプラノ・リサイタルは、本館2階大講堂で20日午後2時に開演。定員350人で無料。同大のサイトから申し込む。問い合わせは同大学生支援事務室(0422・37・3539、平日午前9~午後5時、土曜は正午まで)へ。(河原理子)