上り勾配をボールが転がったり、円筒を鏡に映すと星形の筒に姿を変えたり……。人の錯覚を起こさせる作品の特別展が、13日から東京・神田駿河台の明治大学博物館で始まる。
展示されるのは数理解析の観点から立体錯視を研究する杉原厚吉・研究特別教授の作品。以前は紙工作だったが、今では方程式をもとに3Dプリンターなどで作っているという。
坂道を上るボールは掘りごたつの内側にスロープをつけたようなデザインがもたらす現象で、奥行きを把握しづらい片目で見ると錯覚の度合いが増す。円筒は上部を凸凹の切り口にしたため、見る角度によって異なる形に見える。
「スピード抑止のためにこうした錯視がトンネルなどにも応用されている」と杉原教授は言う。
9月8日まで、入場無料。7月17日と8月23日、9月5日に杉原教授のギャラリートークもある。(大島具視)