|
2020年3月14日、武漢協和腫瘍センターに入院している新型コロナウイルス感染患者の清零さん。顔がほころぶ医療従事者たち。(李長林/人民図片) |
「ただちに挿管、ECMO装着!」-新型コロナウイルス感染によって呼吸不全の症状を呈した李さんは、別の病院から武漢市金銀潭医院に搬送されてきた。同院を管轄する武漢協和医院重症医学科の尚遊副主任率いるチームが速やかに緊急救命措置を開始した。チームの努力が実を結び、李さんは危険な状態から脱出することができた。人民日報が伝えた。
ECMOとは、人工肺とポンプを用いて心臓や肺の代替を行う措置のことで、体外式膜型人工肺とも呼ばれている。新型コロナウイルス感染拡大を受け、重篤患者が増え続けるにともない、ECMOが不足するようになった。湖北・武漢でウイルスと最前線で闘う医療チームを支援する目的で、中央指導チーム物資保障担当班は、関連部門・委員会、各地の医療機関、有志企業など各組織からの協力のもと、ECMO数十台を調達した。ECMOは、重篤患者に対する救命救急治療や死亡率低減の面で重要な役割を発揮した。
中央指導チーム救命救急治療班のメンバーである国家衛生健康委員会医政医管局の張宗久局長は、「大まかな予測によると、ウイルス感染拡大が続くなか、ECMOによる救命救急治療を受ける条件が整った重篤患者のうち、ECMOによる救命措置の成功率は80%に上っており、これは医学上での奇跡と言える」と述べた。
2月23日未明、中央指導チーム物資保障班は、国家発展改革委員会に対し、第一弾ECMO供出指令を発令した。
西安交通大学第一付属医院心臓血管外科の閆煬副主任は、ECMO供出の指示がでた当日のことを回想し、「忙」という1文字を何度も繰り返した。2月23日午後3時、同院は供出指令を受け、関連診療科の職員12人が、検査・メンテナンス・梱包作業を開始した。
消耗品が足りなくなるとECMOを使うことはできなくなるため、閆副主任と同僚は、同院の入院患者の使用をめぐり十分に予測・検討した後、倉庫に備蓄されていた消耗品35組のうち30組を取り出し、武漢に送ることにした。「備蓄がある限り、私たちは出来る限り供給したいと思った。武漢では患者数が多く、1組でも多ければ、1人でも多くの命を救う事ができる」と閆副主任。
2月24日午前9時、ECMO1台・消耗品30組、動脈・静脈挿管30セット、穿刺器具30セットのパッキングが終了、西安から武漢に向けて発送された。ECMO供出の指令を受け取ってから発送するまで、わずか18時間しかかからなかった。
2月26日、中央指導チーム物資保障班は、第2弾の供出指令を発令した。各地の病院に対し、本部心臓血管科や呼吸器科の重篤患者の救命治療に必要な分を確保した上で、出来る限り湖北を支援するよう求めた。
「メイン機器遠心ポンプ1台、空気混合器1台、手動ポンプ1台…」鄭州大学第二付属医院重症医学科の劉小軍主任は、すぐに長い明細リストを作成した。リストには、支援用ECMOのハードウエア、消耗品、対応する機器の写真、問合せ連絡先などが表示されていた。
2月27日午前、鄭州大学第二付属医院が供出したECMO5台が武漢に到着した。同院は、第二弾供出のうち、供出台数が最も多い機関の一つとなった。
ECMOが精密救命救急装置であることから、輸送条件は特に厳しい。どのようにパッキングすれば良いのか?安全に武漢まで届ける方法は?四川大学華西病院医学装備保障部の劉麒麟氏は、関連するさまざまな問題に直面した。
劉氏のチームは、メイン装置・血液ポンプ、水タンク、関連付属品・消耗品などを入れるため、各機器のサイズに合わせて8つの木箱をカスタムメイドで注文した。また、木箱内には、機器が動かないように固定するため、プラスチック製のエアークッションを詰めた。だが、ECMOには電池が付属しているため、運送会社は空輸することができなかった。緊急協議の結果、ECMO2台は成都からチャーター機で武漢に送ることにした。
2度にわたる供出指令によって、計21台のECMOが全国各地の医療機関から武漢に到着し、速やかに重篤患者の救命治療に用いられた。(編集KM)
「人民網日本語版」2020年3月21日