そして、「中国の出生率は、2016年にやや上昇してから2019年までは3年連続で下降している。今後も右肩下がりになるだろう」と指摘する。そして、出生率のほか、2019年の出生数のうち、第二子の割合が57%を占めているという数字にも注目し、「人々の二人目の子供を産みたいという願いは比較的強い」との見方を示す。
その他、ネット上では「育児が怖いという」書き込みが多く見られることに関して、「私自身の長年の研究・分析と実地調査などからすると、中国人は依然として結婚し、子供を産みたいと考えている。ただ、結婚や育児をめぐる観念が変わっただけ」との見方を示す。
これまで中国には「老後のために子供を育てる」という観念があったものの、現在は社会保障体系が中国全土のほとんどの人口をカバーするようになっているため、子供をたくさん産んで老後に備える必要はなくなっており、さらに、養育費も高騰しているため、人々が生む子供の数も減っている。中国では、高等教育を受ける人が増加し、特に女性も高等教育を受けるようになっているのを背景に、北京や上海などの大都市では、30歳を過ぎてから結婚し、出産するというのがすでに一般的な現象となっている。
また楊教授によると、年齢によって、人の考え方も変わり、学生時代の考えは、社会に出て仕事の経験が変化するについて変わるものだとし、「私自身、大学生の時は『独身はとても自由だ』と考えていた。でも、今は結婚して家庭を築き、子供を2人育てるというのが理想の生活スタイルと考えている」と率直に語る。
育児をしながら自分も成長
90後(1990年代生まれ)の梁子さんも昨年、第一子を出産した。しかし、冉さんと違って、「子供を育てるのはたいへんだけど、幸せという気持ちのほうが強い」と話す。
梁子さんと夫は二人とも、北京出身ではないが、北京の大学に通い、卒業後も北京で就職した。二人は現在、借家に住んでいる。子供が生まれる前、梁子さんは「今の状態では、良い環境の中で子供を育てられないのでは」と心配になったものの、子供を持つ他の女性の意見を聞いたり、ネット上で資料を調べたりして、「子供のために基本的な生活必需品を備えてあげることに問題はない。完璧な条件や環境を整えてあげる必要もない。大事なのは健康的で、楽しい雰囲気づくりをしてあげること」と考えるようになったという。