微信の公式アカウント「中国探月工程」が26日に発表した情報によると、嫦娥4号着陸機と月面ローバーの玉兎2号は月の裏側で、月の21日間の日中活動期間の科学探査を終えた。8月25日に600日を突破し、月面ローバーの累計走行距離が519.29メートルに達した。科学研究チームは科学ペイロードが伝送したデータを利用し大量の研究を行い、多くの科学的成果を上げた。
1.月裏側巡視エリアの地形や鉱産物の成分の研究。玉兎2号の可視光・近赤外線分光計、フルパノラマカメラ、月探査レーダーなどのデータを利用し、着陸エリアのスペクトル、岩の分布、浅層構造などの分析を行った。着陸エリアの地形、物質・鉱産物の成分や出処、特性などの科学的結論を導き出した。その場での探査により月深部物質成分を直接明らかにし、月裏側、特に南極エイトケン盆地の複雑な衝突の歴史を明らかにし、月土壌の形成や変化モデルにカギとなる証拠を提供した。今後の南極着陸と巡視・探査の候補地選択などに重要な参考材料を提供した。
2.月裏側巡視エリアの月面浅層構造の研究。嫦娥4号着陸機の月探査レーダーやカメラのデータ、その他の複数ソースのデータに基づき、嫦娥4号着陸エリア地層断面及び複数回にわたる飛散物質のカバー関係を研究・構築した。着陸エリアの飛散物の厚さは約70メートルで、表面はフィンセンクレーターの飛散物。巡視エリアの地下40メートルまでの範囲内に3種の異なる地層が存在しており、中には、地下12メートルまでの細粒月土壌層、12−24メートルの砕石層、24−40メートルの飛散物沈積と風化産物層が含まれる。これらの結果は初めて月裏側の地下構造の謎を解明し、月の隕石衝突や火山活動の歴史に対する理解を大幅に深め、月裏側の地質の変化の研究に新たな啓発をもたらした。
3.月面の中性子や放射線量、中性原子の研究。嫦娥4号着陸機の中性子・放射線量探査装置、中性原子探査装置のデータに基づき、月面高エネルギー粒子放射環境図、月面中性原子エネルギースペクトル構造とアルベドを取得した。月面中性子放射線量率は宇宙ステーション内の2−3倍で、線量当量は約2倍。初期銀河宇宙線が月面に衝突し、アルベド陽子を生んだことを証明した(最初は米国の月周回軌道探査機によって発見されたが、今回は月面で検証された)。これらの成果は太陽風と月面の微視的相互作用の研究に重要なサポートを提供し、月面放射線リスクへの認識を促進し、将来的に宇宙飛行士が受ける月面放射線の危害を試算し、放射線防護設計を行うための重要な参考材料を提供した。
4.月面低周波電波天文観測・研究。嫦娥4号着陸機の低周波電波観測装置を利用し、月裏側で初めて低周波電波天文観測に成功し、大量の効果的な観測データを取得した。初期段階として40MHz以下の月裏側着陸エリア電磁環境基礎スペクトル、低周波電波トリ・コンポーネント時変波形データを取得した。これは太陽の低周波電波の特徴や月面低周波電波環境の研究に対して重要な科学的意義を持つ。(編集YF)
「人民網日本語版」2020年8月26日