中国のネット上で最近、「今シーズンの冬は60年に一度の厳冬になる。それはラニーニャ現象と関係がある」という情報が大きな話題になっている。加えて、中国の多くの地域で最近、気温が急低下し、初雪を迎えた地域がでたこともあり、多くの人が「60年に一度の厳冬」という説を信じている。では、実際のところはどうなのだろうか?科技日報が報じた。
中国国家気候センター気候予測室の袁媛研究員は、「実際には、10月上旬から、中国の北方エリア、特に内蒙古(内モンゴル)自治区や東北地方などで、気温が氷点下にまで下がり、雪が降ってもおかしくない状態になっている。中国の北方エリアでは通常、9月中旬から下旬にかけて、初霜が降りる。その条件は地上の最低気温が氷点下になることだ」と説明する。
そして、「今回の気温低下の過程は主に、異常な大気循環の影響を大きく受けている。この現象とラニーニャ現象に必然的な関係はない。しかし、冬の天気がどうなるかは、ラニーニャ現象と切っても切れない関係にある」とする。
ラニーニャ現象が起きると、「厳冬」となることが多い。では、ラニーニャ現象とは何なのだろう?
袁氏によると、ラニーニャ現象とは、太平洋赤道域の海水温が低下し、広い範囲で例年よりも寒くなる現象。また、その強度や持続期間が一定の条件を満たす現象だ。
袁氏によると、モニタリングでは、今年8月以降、太平洋赤道域でラニーニャ現象が起きている。国家気候センターは、秋はラニーニャ現象が続き、冬にピークを迎えると予想している。つまり、今シーズンの冬は、弱から中程度のラニーニャ現象が起きるとみられている。
一般的に、ラニーニャ現象が起きる冬は、欧州やアジアの中緯度・高緯度の地域の大気循環が大きく変動し、中国の寒冷前線の活動が例年よりも活発になり、中東部地域の気温が例年よりも低くなる可能性が高い。2000年以降、中国ではラニーニャ現象が5度発生しており、全体的に見て、内モンゴルの東部、東北地方、華北の一部の地域の平均気温が例年よりも1―2度、一部の地域で2度以上低くなる傾向にある。
ただ、袁氏は、「ラニーニャ現象が起きる年の冬の平均気温が必ず低くなるというわけではない」とし、「世界的に温暖化が進んでいるのを背景に、中国の冬の気候に影響を与える要素は一層複雑になっている。北極の氷が融け、欧州・アジアの積雪状況も変化しており、それらの要素も東アジアの冬のモンスーン循環の変動の速度に影響を与え、中国の冬の気候の変動に影響する」と強調する。
それらを踏まえ、袁氏は、「今年の冬が厳冬となるのか、暖冬となるのかは、科学的分析を基礎に総合的に判断しなければならない。具体的な気候予測意見は、国家気候センターが10月末に正式に発表する」としている。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年10月20日