性犯罪の厳罰化に向けた刑法の改正について、法相の諮問機関「法制審議会」(法制審)は12日、金田勝年法相に答申した。被害者の告訴がなくても罪に問える「非親告罪化」や、法定刑の引き上げなどが盛り込まれた。答申を受けて法務省は、来年の国会に改正法案を提出する見通し。成立すれば明治時代の制定以来の大規模な改正となる。
現行の強姦(ごうかん)罪や強制わいせつ罪は、被害者の名誉やプライバシーの保護を理由に、被害者の告訴が立件の条件とされてきた。だが、罪に問うかどうかの判断が被害者に委ねられるのは、精神的な負担が重いとして、見直しを求める声が上がっていた。
このほか、強姦罪の法定刑は、現行の「懲役3年以上」から「懲役5年以上」に引き上げる。現行では強盗罪の「懲役5年以上」より軽いため、引き上げを求める声が被害者に強かった。
親から子への性的虐待などを罰する罪も新たに設ける。18歳未満に対して、生活を支える「監護者」が「影響力に乗じて」わいせつ行為などをした場合、強姦罪や強制わいせつ罪と同様に処罰する。現行の強姦罪などは加害者の「暴行や脅迫」が成立の条件で、「被害者が抵抗しなかった」として立件が難しいケースがある。新たな罪では、抵抗の有無にかかわらず、罰することができるようになる。
「男性が加害者、女性が被害者」としてきた「強姦」の定義も拡大され、性の区別なく処罰の対象となる。(金子元希)