イルカの姿が特徴の天草エアラインの機体=熊本県天草市の天草空港
九州の熊本県本土から島々を橋で渡り継いで、たどりつく天草下島(しもしま)。島南端にある牛深(うしぶか)市民病院へ、内科担当の医師青山貴子(47)は月1回ほど、島北部の天草空港を発着する航空会社の天草エアラインを利用して通う。自宅がある京都市から福岡空港を経由して日曜に入り、金曜夜に帰る。
同病院の常勤医は4人だけ。宿直体制を維持するにも医師の数が必要だ。だが、熊本市から車で3時間かかり、確保はやっと。天草エアなら福岡空港から30分。青山のように空路で福岡や関東などから通勤する非常勤医が約7人いる。
天草市長の中村五木は、「だから天草エアは市民にとって『命の翼』なのだ」と話す。病院存続はこの航空会社のおかげという。
天草エアは2000年、熊本県などの第三セクターとして運航を始めた。天草―福岡のほか、熊本、大阪(伊丹)を結ぶ。保有機はプロペラ機一つで、日本一小さな航空会社だ。天草―福岡の普通運賃は1万3千円強。16年度まで8年連続で純損益では黒字だが、地元自治体が1億~3億円の整備費を肩代わりしているためだ。「実力ではない」と社長の吉村孝司は話す。
一番の悩みは、1機でやりくりしているので故障や定期整備のたびに欠航が相次ぐ点だ。昨年度の欠航率は7%強。また、昨年は老朽化していた機体を初めて更新した。約20億円の新型機の購入費の大半を天草市が負担した。今回は合併特例債を充ててしのいだが、15年後の更新は中村も「非常に厳しい」と話す。
プロペラ機で離島などの足を担…