2025年4月10日、中国能源網は中国南方航空の旅客機で「超薄座席」が導入されたことが物議を醸したと報じた。 記事は、中国南方航空がこのほど新型の「超薄座席」を導入したことを紹介。新しい座席は従来の旅客機の座席よりも大幅に薄くなっており、軽量化、省スペース化によって機体1機あたり14〜28席を増やせ、年間で最大3億元(約60億円)の収益増につながることが見込まれると伝えた。 そして、実際に搭乗した乗客からは「まるで刃物のような椅子」「拷問椅子のようだ」と不快感を訴える声が続出、「LCCみたいな座席」「高速鉄道の普通座席より狭い」「腰が痛くて長時間は無理」といった批判的な投稿がSNSに相次いで寄せられているとした。一方で「短距離なら我慢できる範囲」「思ったほど悪くない」という肯定的な声もあり、ネットユーザーの間では賛否両論となっていることを紹介した。 その上で「超薄座席」の導入は航空会社のサービス簡素化の一環であり、このような取り組みは南方航空に限られた動きではないと指摘。東方航空や厦門航空など他の航空会社でもみられ、一部の路線では「水とパンのみ」といった簡易機内食が提供されるケースも報告されていると伝えた。 記事によると、航空各社がサービスの簡素化を進める背景には各社の深刻な業績悪化があるという。南方航空は24年に約17億元(約340億円)、東方航空は約44億元(約880億円)の純損失を計上しており、コスト削減と収益回復のためエコを強調して機内サービスの簡素化を進める「グリーンフライト」や機内食の事前予約制といった施策を次々と打ち出している。 記事は最後に、中国社会科学院財経戦略研究院の魏翔(ウェイ・シアン)研究員による解説を紹介。魏氏は航空業界が業界再編の波に飲まれる中、一部航空会社はサービス品質低下を余儀なくされ、消費者からLCC扱いされることになると指摘した上で、航空会社側がこの変化をポジティブに受け入れれば合理的なサービス調整ができるが、フルキャリアとしての位置づけにこだわりすぎると戦略と現実のギャップが生じてブランド危機、ひいては経営危機に陥る可能性があるとした。そして、消費者の価格志向が進む中でコスト調整を余儀なくされている航空会社は、限りあるコストで安全性や利便性、基本的なサービス品質の確保を優先的に取り組む必要があるとの認識を示した。(編集・翻訳/川尻) |
中国航空会社の「超薄座席」が物議
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