【滋賀】雨が降らなかったら、大惨事になっていたかもしれない――。そんな山林火災が、大津市田上森町で12日に発生した。雨に救われたが、鎮火したのは2日後の14日だった。

　大津市消防局や大津署によると、堂山（標高384メートル）をハイキングしていた女性が12日午後1時40分ごろ、山林で煙が上がっているのを見つけて119番通報した。

　上空からはヘリが、地上では消防隊員らが入山して消火にあたった。現場が山中のため、消防隊員らは水をためたリュック式の消火器具を背負って活動した。

　13日にまとまった雨が降って火勢はおさまったが、鎮火したのは14日午後2時50分ごろ。約8485平方メートルが焼失した。けが人はいなかった。

　山林の広い範囲を、ちゃんと消火できているか土の中まで確認したため、鎮火までに時間を要した。3日間で消防隊22隊、消防団3隊、ヘリ3機（いずれも延べ）が活動したという。

　火災の原因調査も時間がかかりそうだという。焼けたのは、林道からかなり離れた、人が入って行かないような場所だった。このため、落雷によって出火した可能性もあるという。

　堂山の入山口付近には、山火事予防を呼びかける掲示などがある。ふもとに住む男性（71）によると、一帯はハイキングで訪れる人が多い。「雨が降らず、風が強かったら、燃え広がって大変なことになっていたかもしれない」と話した。

　全国ではこの春、山林火災が相次いだ。大津市消防局は、2月に発生した岩手県大船渡市の大規模な山林火災を受けて、ホームページで注意喚起するなどして警戒していた。

　担当者は鎮火翌日の15日、取材に「岡山などでも山林火災があったので頭をよぎった。雨が降らず晴れていたら、燃え続けている可能性があった」と話した。

　同局によると、市内では2019～23年、たき火や野焼きなどが原因の山林火災や雑草火災が計52件発生。たばこや「原因不明」を含めると、さらに多くなるという。

　同局は、人的要因が山林火災につながるケースも多いことから、たばこのポイ捨てやたき火、野焼きなど、火の取り扱いに注意するよう呼びかけている。（仲程雄平）