今月14日に、三郷市で小学生4人が車にはねられてけがをしたひき逃げ事件で、警察は18日、市内に住む解体工で、中国籍の※トウ洪鵬容疑者（42）を逮捕し、ひき逃げと、車ではねて小学生にけがをさせたうえ、飲酒運転の発覚を免れようと逃走した疑いで、19日朝、検察庁に送りました。

また、飲酒運転と知りながら車に乗った疑いで逮捕された中国籍の会社員、王洪利容疑者（25）も検察庁に送られました。

調べに対し、トウ容疑者はひき逃げ事件について当初、「相手が大丈夫と言っていたのでその場から離れた」などと供述していたということですが、その後の2人の認否について警察は捜査に支障があるとして明らかにしていません。

逃走した車は現場から2キロほど離れた同乗者の王容疑者が住む会社の寮の駐車場で見つかり押収されています。

トウ容疑者は、王容疑者から自宅まで車で送るよう暗に依頼されていたとみられ、警察はトウ容疑者が送り届けたあと、飲酒運転の発覚をおそれてそのまま車を置いて逃げた疑いがあるとみています。

2人は、事件直前まで2時間近く、トウ容疑者の自宅近くの中華料理店で酒を飲んでいた疑いがあり警察は事件前後のいきさつをさらに詳しく調べています。

※トウは「郊」の左が「登」

トウ容疑者は、18日の朝、三郷市の吉川警察署にタクシーに乗って出頭していました。

容疑者を乗せたタクシードライバーによりますと容疑者は午前7時45分ごろ西川口駅のタクシー乗り場で女性2人とタクシーに乗ってきたということです。

女性のひとりに「吉川警察署に行ってほしい」と言われ警察署に向かいました。

途中でコンビニエンスストアに寄り、水とマスクを買ったということで、タクシーは40分ほど走り午前8時半ごろに吉川警察署に着きました。

警察署に着くと、容疑者はタクシーを降りて中へ入っていったということです。

ドライバーは車内での様子について「容疑者は助手席に座り、女性2人は後部座席に乗った。車内で女性2人は中国語で会話していたが、男はずっと黙っていた。男はすごく汗をかいていて、暑そうに見えた。行き先が警察署だったので何かしら警察に出向くようなことをしたのかなとは思った」と振り返りました。

その上で「マスクをして警察署に入っていった。今回のひき逃げ事件の容疑者とは全然気づかなかったので特に怖いとも感じなかった。容疑者がみずから警察署に出向いたのであれば、よかったと思う」と話していました。

今回の事件では通りかかった別の車のドライブレコーダーに事件発生直後の様子やその後、現場から逃走した車が左折や右折を繰り返しながら住宅街を抜ける様子なども記録されていて、乗っていた2人の割り出しや逃走ルートの特定につながりました。

また、事件翌日に押収された逃走した車に搭載されていたドライブレコーダーからも、事件を起こした状況に加えて事件前に容疑者たちが酒を飲んでいた疑いのあることもわかったということです。

複数の捜査幹部は「『あおり運転』が社会問題化した数年前から一般の乗用車にもドライブレコーダーが普及し、車の走行に関する映像が多く記録されるようになった。複数の場所で撮影された防犯カメラの映像をつなぎあわせる『リレー捜査』と同じく、『点』をつないで『線』にして事件や事故の前後の状況がわかるようになった。悪質な事故や危険な運転の実態を解明していくうえでドライブレコーダーの解析は重要となっている」と話しています。

事件や事故の「瞬間」を捉えた映像はドライバーが積極的に警察に提供してくれる機会も増えたということです。

一方で、逃走する車両などを偶然、撮影した場合にはドライバーも自身の車のドライブレコーダーに重要な映像が残されていることに気づかず警察が、たどり着くころにはデータが消えてしまっているケースもあるということです。

今回も、事件の直後に逃走する車両を撮影したドライブレコーダーの映像がありましたが、当時、ドライバーは事件を起こした車だとは知りませんでした。

捜査幹部は「自分が走ったルートの近くで事件や事故が起きていたらドライブレコーダーの映像をみてほしい。もし、事件に関係する映像が写っているかもしれないと思ったら警察に連絡してほしい」と話していました。