楽天の三木谷浩史オーナー(40)がTBS問題などの本社業務に専念するため、来季からオーナー職退任を検討していることが31日、分かった。後任の筆頭候補は島田亨球団社長(40)だが、究極の地域密着策として11月で任期を終える宮城県の浅野史郎知事(57)や、地元企業から人材を登用する案も浮上しており、4日のオーナー会議の言動に注目が集まりそうだ。
三木谷オーナーが退任を検討している最大の理由は、長期化の様相を呈するTBS問題などの本社業務に専念するため。楽天関係者は「8月の終わりからオーナー職を退くことを検討していた」と明かした。
楽天本社のTBS株の買い増しが発覚したのは先月13日。現在は20%近くの株式を保有する筆頭株主となっている。しかし、商法上は許容範囲の取引ながら、21日に行われたプロ野球実行委員会では他の11球団から不満が噴出。TBS本社が横浜ベイスターズ株を約70%保有しているため、球団の二重保有を禁じた野球協約に抵触するとの見解が示された。
オーナー会議でも各球団から経緯の説明を求められることは必至だが、三木谷オーナーは強気の姿勢で臨む。現行の野球協約は本社への明確な拘束力がなくヤクルト、横浜の球団株に絡むフジテレビとニッポン放送のように、現段階でTBS株の保有は協約の例外に当たると主張する予定だ。さらにその席で球団オーナー職の去就についても言及する可能性は高い。
現在、楽天本社は経営統合を申し入れているTBSからの回答を待っている状況。今後の展開は流動的で、本社業務は多忙を極めている。そこで数年後に球団経営が完全黒字になれば引き継ぐ予定だった島田球団社長に早い段階でオーナー職を禅譲する可能性もある。
その一方でサプライズも検討されている。今月に任期満了となる宮城県の浅野知事や、アイリスオーヤマの大山社長、河北新報の一力会長といった地元・仙台の企業から球団オーナーを登用するプランだ。球団関係者は「そうなれば地域との密着度が高まる」と話した。
仮にオーナー職を退いても、本社のトップとして球団への影響力は持続するが、以前から三木谷オーナーは「オーナーを島田に任せてもいい」と語っていた。プロ野球への参入1年目から12球団No・1の存在感を示してきた楽天のトップが、球界から身を引くことになる。
≪多忙でスポーツ関連業務まで手回らず≫三木谷オーナーはJ1神戸の運営会社クリムゾンフットボールの代表取締役社長も務めているが「現場のハンドリングは、ほとんどこっちでやっている」(叶屋専務)という状況だ。また、頻繁に神戸戦を観戦していた三木谷オーナーも、多忙のためか今年になって回数が激減。スポーツ関連の業務まで手が回らないというのが現状のようだ。
≪渡辺会長「二重保有をしないと約束していた」≫楽天のTBS株保有に関して、巨人の渡辺球団会長は三木谷オーナーが球団の二重保有をしないと約束していたことを明かした。この日夜、都内のホテルで会食後に「楽天(本社)が楽天と横浜を持つことは(野球)協約違反だ。“それはしません”と三木谷くんは僕に言った」と発言。一方で「楽天がTBSをどうしようと、協約と何の関係があるんだ」と話した。