【カイロ高橋宗男】イスラエル軍は3日、レバノンへの攻撃を継続し、首都ベイルート南郊を約1週間ぶりに空爆した。レバノン南部国境付近ではイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラとイスラエル軍の激しい交戦が続いているほか、同軍は東部ベカー平原、北西部の国境付近も爆撃。南部カナの爆撃を受けた48時間の空爆停止の期限が切れ、レバノン全土への攻撃が強化されている。
レバノンのシニオラ首相は同日、マレーシアで開催されているイスラム諸国会議機構緊急首脳会議へのビデオ声明で「これまで900人以上が死亡し、3000人が負傷した。うち3分の1は11歳以下の子供たちだ」と強調し、イスラエル軍の攻撃が「我々の国土を荒廃させ、経済を壊滅させた」と訴えた。首相はまた100万人が避難を強いられていると述べた。
レバノンの人口は約350万人。二重国籍を持つ国民の多くはすでに国外に脱出しており、国民の3人に1人が避難生活を強いられている。
AP通信によると、ベイルート南郊では同日未明、イスラエル軍がヒズボラの拠点を少なくとも4発のミサイルで攻撃、複数のビルが破壊された。南部一帯への空爆も強化され、国境付近の村タイベでは同日午前、同軍のミサイルが民家を直撃、一家3人が死亡した。
イスラエル軍はベカー平原のヒズボラ拠点バールベックとシリアを結ぶ幹線道路や、北西部のアッカール地方の橋を破壊するなど、北部国境付近にも爆撃を加えており、ロイター通信によるとレバノン全土での攻撃対象は約70カ所に上っている。
毎日新聞 2006年8月3日