大手スーパーのイオンが、大手商社の丸紅傘下で経営再建中のスーパー、ダイエーと資本・業務提携する方向で調整していることが29日、分かった。イオンは、ダイエーの発行済み株式の44.6%を持つ丸紅から約10%を取得する方針だ。実現すれば、売上高が合計で6兆円を超す国内最大の流通連合が誕生する。イオン・ダイエー連合と、セブン-イレブン、イトーヨーカ堂、そごう、西武百貨店を傘下に持つセブン&アイ・ホールディングスの、2大小売りグループの競争が一段と激化しそうだ。
イオンは今年度中にも丸紅からダイエー株約10%を買い取った上で業務提携する方向で、10月をめどに詳細を詰める。イオンは連結売上高が4兆4302億円、ダイエーの同1兆6751億円が加わると、セブン&アイの3兆8957億円を大きく引き離す。
産業再生機構は04年12月からダイエーを支援してきたが、負の遺産処理をほぼ終えたとして、今月、支援企業の丸紅に保有するダイエーの全株式33.6%を売却した。丸紅は筆頭株主になり、西見徹常務執行役員を10月、ダイエーの新社長に送り込む人事を固めた。
しかし、丸紅には小売業を運営する専門家がいないほか、ダイエーを子会社化しても、負債を抱えて金利負担を背負うことを懸念。丸紅は筆頭株主の地位を保ちながらイオンに株式を一部売却し、ダイエー再建に協力して取り組む方が得策と判断した。
イオンはもともと、再生機構によるダイエーの支援企業選定に名乗りを上げたが、最終選考で丸紅グループに敗れた。しかし、小売市場は少子高齢化や競争激化で環境は厳しく、世界最大の小売業、米ウォルマートの日本進出や、セブン&アイがコンビニ、スーパーに加え、百貨店を取り込んだことに危機感を強め、再生機構の手を離れたダイエーへの接近に意欲を燃やしていた。
また、ダイエーとの資本提携により、ダイエーグループの食品スーパー大手、マルエツとの関係強化が見込め、食品事業の強化も期待できる。
ただ、ダイエーの業績は依然として厳しく、今年3~5月の既存店売上高は前年同期比1%減で、年間目標の3%増を下回る。イオンはリスクも抱えることになるが、01年に経営破たんしたマイカルを再建させた手腕を生かすことも可能で、ダイエー再建のピッチが上がる可能性もある。
▽イオン 1926年設立。01年に社名を「ジャスコ」から変更。経営破たんした旧ヤオハン、マイカルを支援し、傘下に収めた。06年2月期の連結売上高は4兆4302億円でスーパー業界首位。店舗数378店、従業員数約7万1170人。
▽ダイエー 1957年、中内功氏が創業。高度成長期に急拡大したが、バブル崩壊後は業績が急速に悪化し、04年12月に産業再生機構が支援を決めた。06年2月期の連結売上高は1兆6751億円。店舗数209店、従業員数約3万780人。
毎日新聞 2006年8月30日