大手スーパーのイオンは31日、直営店の「ジャスコ」やグループ企業が展開するスーパー計約1200店すべてについて、1~2年内に関係市町村と「防災協定」を締結する方針を明らかにした。地震などの大規模災害時に、店内にある水や毛布などの緊急生活物資を無償で提供したり、駐車場を避難場所として開放する。大手小売業が全店舗を自治体との協定に基づく防災拠点とするのは初めて。
協定は、災害時に▽食料品や日用品を供給▽被災者に駐車場や店舗を開放▽通信手段と情報の提供--などが柱。各店舗ごとに関係自治体に締結を申し入れる。
イオンは郊外型ショッピングセンターの出店で成長したため、低層の大規模店舗と広大な平面駐車を備えているのが特色。直営店の平面駐車場だけでも全国に延べ1000ヘクタール強を持つ。災害時にはこうした場所が安全で避難先に適しているうえ、店内には食料や応急治療のための医薬品が豊富にそろっている。
イオンは地域貢献の一環として、70年代から自治体と防災協定を結び、既に176店で締結済みだ。しかし、04年の新潟県中越地震など災害が多発する中、阪神大震災発生時に関西の店で苦労した社員を中心に「積極的な住民への協力体制を作るべきだ」との声が高まり、全店舗に拡大することを決めた。【宇田川恵】
毎日新聞 2006年9月1日