【ジュピター(米フロリダ州)高橋秀明】米大リーグ、レッドソックスの松坂大輔投手(26)は6日、当地でマーリンズとのオープン戦に先発し、予定の3回を2安打、3奪三振で無失点に抑えた。勝敗は付かなかった。大リーガー相手のマウンドは今回が初めて。大学生のボストン・カレッジを相手にした前回の初登板に続き、5イニング連続無失点となった。
松坂は二回、四球と二塁打で1死二、三塁のピンチを招いたが、後続を断って切り抜けた。球数は47。松坂は「大リーガー相手の初登板という意識はなく、いつも通りの精神状態で臨んだ」と語った。
次回は11日(日本時間12日)のオリオールズ戦に登板する予定。
◇松坂「仕上がりは4割か5割」
松坂は47球を使い、大リーガーの腕を試した。
前回のオープン戦登板は大学生相手で、大リーグのチームとの実戦は初めて。松坂はピンチを背負う状況をいとわなかった。二回、先頭の左打者、ボーチャードの内角を突いて四球を許したが、内角に厳しいメジャーのストライクゾーンを確認する狙いがあった。「制球を乱したということはない」と松坂。想定内の四球だった。
1死後、直球が思いのほか高めに浮き、右越えのエンタイトル二塁打を浴びた。二、三塁のピンチ。「遊び」はここまでだった。「ピンチをつくった時は(日本の)シーズン中と同様、抑えるつもりで投げた」
本気になった松坂は、右打者のシーボルをカウント2-1と追い込む。ここでマウンドに駆け寄ってきた捕手のバリテックに要求された次の1球は、意外にも内角スライダー。体に当たりそうなところから鋭く曲がり、内角をかすめた。打者は反応できずに見逃し三振。続くリードはセーフティーバントを試みたが、この日最速の151キロで、一塁手への小飛球に仕留めた。
球種やコースなど、いろいろと試しながらも、3回を奪三振3の零封。試合後、普段はヤンキースをカバーしているニューヨーク・ポスト紙のコラムニストが「今はどれくらいの仕上がり具合か」と尋ねた。松坂はさらっと答えた。「4割か、5割ぐらいじゃないですかね」。その言葉が通訳を通じて英語に訳された瞬間、辛口で知られるコラムニストの目が、きらりと光ったように見えた。【高橋秀明】
毎日新聞 2007年3月7日 8時24分 (最終更新時間 3月7日 11時28分)