尼崎脱線事故の遺族らでつくる「4・25ネットワーク」の会合と、負傷者とその家族の集いが18日、兵庫県宝塚、川西両市でそれぞれ開かれた。同ネットワークの会合では、新たにホームページ(HP)を開設して犠牲者の乗車、救出状況に関する情報提供を呼びかけることを決めた。また、負傷者の集いでは、参加者から事故当時の証言を集めることが提案された。25日で事故から5カ月。遺族や負傷者の間では、「事故の詳細を知りたい」との思いが強まっている。
◇遺族、HPに情報寄せて…負傷者は証言集めを提案
同ネットワークの会合は4回目。犠牲者33人の遺族53人が出席した。脱線した電車では依然18人が乗車車両も不明なままだ。このため同ネットワークは25日に立ち上げるHPで、当時の乗車、救助状況などについて、広く情報提供を求めることにした。
また会合では、信楽高原鉄道事故(91年)や明石歩道橋事故(01年)の民事訴訟にかかわった弁護士ら十数人が遺族宅を訪問し、悩みの相談に応じたり、JR西日本への質問などを聞き取ってもらうことが決まった。さらに同社に対し、事故原因の説明会を開催するよう求める署名運動を負傷者とともに始めることも確認した。
最後に、災害や事故などで親を亡くした遺児を支援する「あしなが育英会」が、妻を亡くし15歳の長男が残された夫(47)に、見舞金(郵便為替10万円分)を贈呈した。事故では44人の遺児がおり、17日から順番に手渡しているという。
一方、負傷者らの集いはNPO「市民事務局かわにし」の主催で3回目。最も多い52人が参加した。このうち同県西宮市の会社員、小椋聡さん(36)が「負傷者が声をあげることで事故原因の究明につなげたい。文章や絵で記憶を残すことは、遺族の力にもなる」と証言集めを提案。また「助けてくれた人の情報を知りたい」との声が、負傷者の間で多く聞かれたという。【田倉直彦、長沢晴美、服部陽】
毎日新聞 2005年9月19日 2時26分