産経新聞社のウェブサイトでは一時、テキストファイルが埋め込まれる改ざん被害が起きた
日本国内のウェブサイトでトップ画面を書き換えられるなどの改ざん被害が10月以降、急増している。被害は16日までの1カ月半で約180件。多くはハッカーが技術力を誇示する狙いとみられるが、次のサイバー攻撃に利用されかねない被害も見つかり、専門家が警戒を呼びかけている。
改ざん被害の多くは、トップ画面に「Hacked By ○○」といったメッセージが残される。音楽が鳴ったり、画像が動いたりするものもあった。
海外の被害観測サイトのデータから、朝日新聞が日本国内の企業や組織などが開設するサイトの被害を集計すると、10月から今月16日にかけて少なくとも178件の被害があった。9月以前の1カ月半に比べ約5倍のペースだ。原因は分かっていない。
改ざんされたのは、企業や財団法人、学校、地域の医師会や商店などのサイト。同志社大学(京都市)では10月下旬、理工学部の研究室のトップ画面が書き換えられ、剣と盾を持った人物の画像が表示された。文部科学省からの通報で判明した。
産経新聞社では今月10日、ウェブサイトに「Hacked By MuhmadEmad」と記されたファイルが一時、埋め込まれる被害があり、原因を調査中という。同社は取材に「外部からの不正アクセスを検知した。表示内容が別のものに書き換えられるなどの改竄(かいざん)の形跡はなく、個人情報の漏洩(ろうえい)もなかった」(広報部)と回答した。
サイバー攻撃対策を支援する一般社団法人「JPCERTコーディネーションセンター」(東京)によると、利用者のアクセス日時などを不正に記録するファイルを埋め込まれる悪質な改ざん被害も見つかり、14日に注意情報を発表した。担当者は「画面の書き換えは、ハッカーの技術力を誇示する狙いだろう。サイトへのアクセス記録が取られれば、次のサイバー攻撃に悪用されかねない」と警戒を呼びかける。(編集委員・須藤龍也)