外国籍者や民族的少数者の権利を保障する法制度の創設に向け、NGO関係者や弁護士らが「外国人人権法連絡会」を結成し、来月8日、東京都千代田区の日本教育会館で記念集会を開く。国内には現在200万人以上の外国籍者が暮らしているが、外国人登録法などの管理法があるだけで、権利を定めた基本法すらない。一方で「テロ・治安対策」として、外国人の管理・監視は強まる傾向にある。連絡会は人権基本法や差別撤廃法の制定などを目指し、国会に働きかけるなどする初の試みとなる。
昨年末の外国人登録者は197万3747人で、36年連続で過去最高を更新中。不法滞在となっている人を加えれば200万人を超えるという。
日本国内の多国籍、多民族化が進む一方、根強く残る外国人に対する入居拒否などには「差別」と禁じる法律がなく、教育権についても権利主体としての規定はない。逆に「テロ・治安対策」として、出入国時やビザ申請時の指紋や顔写真提供の義務化が検討されている。
連絡会は、▽田中宏・龍谷大教授▽渡辺英俊・移住労働者と連帯する全国ネットワーク共同代表▽郭辰雄・コリアNGOセンター運営委員長らが呼びかけ人となり、昨年10月、宮崎市での日弁連人権擁護大会で「外国人・民族的マイノリティ人権基本法要綱試案」が採択されたのを契機に準備を進めてきた。試案を参考に、「外国人・民族的マイノリティ人権基本法」「人種差別撤廃法」の制定を国会に働きかけるほか、法務省から独立した人権擁護機関の設立や、地方自治体レベルでの「人権基本条例」「差別撤廃条例」の制定を求めていく。
呼びかけ人の一人の丹羽雅雄弁護士は「テロ対策や犯罪抑止のため外国人を対象に治安立法が進められ、社会全体の管理が強化されている。市民の側から『共生』と『平和』を目指す法制度を提示していきたい」と話している。問い合わせは「みどり共同法律事務所」(03・5925・2831)。【中村一成】