タイガース株の上場も、上場の可否を問うファン投票も答えは「ノー」。阪神球団に関する村上ファンドの提案を、阪神電鉄は受け入れなかった。
7日の会見でファン投票実施について西川恭爾・阪神電鉄社長は「当面見送る」と語った。「当面」の意味を問われると、「いつまでにそれをやるか話をするのは難しい。これからも考えて行きたいということ」と説明。全面的な拒否という印象が強い。
10月11日に行われた、村上ファンドを率いる村上世彰氏とのトップ会談以降、西川社長はスポーツ界の有識者や法曹関係者ら10人程度から意見を聴いた。自身が出席した11月4日のプロ野球オーナー会議でも議題の柱の一つとなった。双方の機会で「球団株上場には反対」という意見が大半を占めたことが、強気な姿勢につながったとみられる。
また、ファン投票実施は、技術的に困難な面があった。球団のファンクラブ事務局によると、05年の会員は14万6000人で、このうち小学5年生以下のキッズ会員は2万1000人。月1回発行しているメールマガジンの約1割が、アドレス変更などにより返ってくるという。村上ファンド側が示したインターネットを利用したファン投票について、担当者は「ファンクラブ全体の意見を集約するのは難しい」と指摘していた。この日の会見でも西川社長が「ファンの年齢層に幅があり、球場を訪れる回数も年間60回から数回と幅がある。どういう風にサンプリングしたらいいのか困っている」と述べている。
結局、西川社長は「『(球団株上場は)大変難しい』と実務者レベルで(村上ファンド側には)伝えてある。(これからも)私どもの考え方を話すしかない」という姿勢を崩さなかった。タイガース上場問題に限って言えば、阪神電鉄側に譲歩の用意はなさそうだ。【栗林創造】