元本拠地に戻ってきたロッテの柴田(中央)=阪神甲子園球場
昨秋、柴田講平外野手(30)は、プロ野球の阪神から戦力外通告を受けた。現役続行の道を探るため、本拠の甲子園でトライアウトを受けた。入団テストの末、ロッテが拾ってくれた。8日、トライアウト以来、甲子園に戻ってきた。
特集:プロ野球戦力外2016
三塁側ベンチからグラウンドに姿を現すと、晴れやかな笑顔を見せた。練習中だった阪神の選手や首脳陣、裏方の球団職員にあいさつに出向く。「ベンチが違うので、ちょっと変な感覚です。これから慣れていかないと」
トライアウトの後、再び甲子園で野球ができるなんて、考えもしなかった。だから入団後、甲子園でオープン戦があることを知ってからは、この場に立つことは小さな目標だった。「2番・左翼」で先発した。
試合前、阪神の球団マスコット・トラッキーから打撃フォームを物まねされた。打席に向かうとき、球場内に名前がアナウンスされると、拍手が起こった。「感謝しています。結果を出して応えたかったですけど…」。この日の成績は5打数無安打。だが、プロの道を断たれかねなかった選手の心は、強い。「今日は今日で反省する。引きずらずに、また練習する。明日は明日で、切り替える。この球団で、多くのことを勉強させてもらっている」(井上翔太)