「成田国際空港」(旧・新東京国際空港公団、千葉県成田市)が発注した電気関連工事を巡る官製談合疑惑で、東京地検特捜部が捜査対象を重電メーカー5社に絞っていることが分かった。また、民営化直前の03年度以降、平均落札率(上限価格に占める落札額の割合)が98%を超えていたことも判明。特捜部もこれらの入札に関心を寄せており、実態解明を進めている模様だ。
この5社は▽東芝(東京都港区)▽三菱電機(千代田区)▽富士電機システムズ(品川区)▽明電舎(中央区)▽日新電機(京都市右京区)。特捜部は連日、5社の営業担当幹部から、競売入札妨害などの疑いで任意で事情を聴いている。一方、同様に聴取していた日立製作所(東京都千代田区)と高岳製作所(中央区)の2社の営業担当幹部については、談合への関与の度合いが薄いと判断したとみられる。
また、高圧電流の電圧を使用可能なレベルまで下げる「高圧受変電設備」の入札に関する内部資料によると、03年度に発注された9件の工事の平均落札率が98.2%に達していた。民営化された04年度以降の8件も98.1%と高率で、00~02年度に発注した11件の96.1%に比べて、それぞれ2ポイント以上高い率になっている。
特に、三菱電機が落札した03年9月26日の入札では、事前に公表されない予定価格(上限価格)が6億420万円余だったのに対し、落札額は6億200万円で、落札率が99.6%に達した。
旧空港公団幹部によると、03年度以降は、95年に始まった「第1ターミナルビル」改修に関連する工事などが集中し、例年より発注件数が多かったという。
特捜部は5社が中心となり、受注予定社の記載された配分表をもとに談合していたとの疑いを強め、配分表を作成したとされる旧空港公団職員らからも事情を聴いている。