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耐震偽造:発覚直前イー社に指導 匿名情報で国交省

耐震データ偽造問題で、偽造を見逃していた指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)について、国土交通省が問題発覚の直前に立ち入り検査に入り、帳簿の整備を求める行政指導をしていたことが分かった。イー社の文書管理の不備を指摘する匿名情報が同省に寄せられたのがきっかけだった。イー社はこの直後、社内の定期監査で未着工のマンション4棟の強度が不足していることが分かり、同省に報告している。問題の発覚に匿名情報が絡んでいたのが明らかになったのは初めてで、同省は詳しい経緯を調べている。

 国交省によると、10月初旬、「イー社の帳簿管理はずさんだ」とする匿名の情報提供が同省にあった。これを受け、同省はイー社への定期検査に入ることを決め、事前通告したうえで同21日に立ち入り検査を実施した。

 同省の担当者が情報提供に基づき、確認審査業務を記した帳簿を重点的に調べたところ、帳簿の目録を文書で一覧化していない問題が見つかった。イー社は「コンピューターには保存してある」と説明したが、同省は文書で整備するよう行政指導した。しかし、立ち入りは定期検査のため1日で終わり、個別の案件まで調べることはなく、計算書の偽造は見抜けなかったという。

 一方、イー社の説明では、10月6日に内部監査室が月に1度の社内監査を実施すると関係部署に通知。延べ床面積200平方メートル以上の建築物308件の中から5件を無作為抽出したところ、姉歯(あねは)建築設計事務所がかかわった構造計算に不審な点が見つかった。調査の結果、工事中・未着工のマンション4棟の構造計算書が偽造されていたとして26日、国交省に報告。さらに11月8~10日、完成済みを含む計16棟について同様の報告をしている。

 同省は、11日から5棟分について独立行政法人「建築研究所」で耐震強度の再計算を実施し、強度が不足していることを確認。同17日、入居者への連絡とともに記者発表した。

 問題把握の経緯について、イー社の藤田東吾社長は18日の会見で、「民間機関だからこそ計算書の偽造が判明した。きちんと検査した証しだと思っており、速やかに公表できた」と説明。国交省は「先月26日のイー社からの報告で初めて偽造をつかんだ。その前に匿名情報で立ち入りしたのは事実だが、定期検査では個別案件まで調べることはできず、限界がある」と話している。【武田良敬、長谷川豊】

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