イモビライザー(電子式移動ロック装置)を搭載したトヨタ製RV(レジャー用多目的車)ランドクルーザーの昨年1年間の盗難被害が、前年の約2倍になっていたことがわかった。警察庁などで組織する「自動車盗難等の防止に関する官民合同プロジェクトチーム」がまとめた。警察庁は「イモビライザーを破る手口が広まっている」と警戒している。
イモビライザーは、キーに埋め込まれた電子チップの暗号を、車体に内蔵したコンピューターで照合し、正規のキーと判別されなければエンジンが始動しない仕組み。現在、最も有効な自動車盗の防止策とされる。
同チームは、とくに被害の多いアリスト(トヨタ)、ランドクルーザー(同)、セルシオ(同)について、03年と04年の全国の盗難数を比較。イモビライザー付きの車両に絞るとアリストは22台から17台、セルシオは133台から115台にそれぞれ減少したものの、ランドクルーザーは259台から552台と、2.1倍になった。うち02年8月に改良される前の「初期型」の搭載車は、426台を占めた。
こうした実態について警察庁は「ランドクルーザーは海外での人気が高く、窃盗グループの標的になりやすい」とみている。ただ、改良後の「現行型」イモビライザーの搭載車は初期型に比べ盗難に遭う危険率が4分の1程度で、同チームは今後も搭載の普及を図る方針。
一方、04年の自動車盗難の認知件数は5万8737件で、過去最高だった前年の6万4223件より5486件(8.5%)減少した。【鈴木泰広】
毎日新聞 2005年12月1日 15時00分