黒字とされていた北海道夕張市の05年度決算で違法な会計処理が明らかになり、赤字転落が確実となったことを受け、同市は財政再建団体移行に向けたスケジュールを前倒しし、9月にも法的手続きに入ることが濃厚となった。同市はこれまで来年6月以降の手続き開始を見込んでいたことから作業は手付かずの状態で、今後スピードアップを迫られるのは必至だ。一方、総務省は25日、06年度の同市の地方債について最小限度以外は発行に同意しないことを決定。歳入確保の一策として、同市が今年度内に公共料金の値上げに踏み切る可能性も出てきた。
「(9月の手続き開始は)大変厳しいが最大限努力する」。25日、夕張市内で会見した後藤健二市長は渋面で語った。
地方財政再建促進特別措置法(再建法)は、赤字決算を条件に国が地方自治体を再建団体に指定できると規定している。05年度決算が赤字転落したことで同市は年度内の指定申請が可能になったが、当初予定より9カ月前倒しという急激な展開に「(作業を)倍速でやらなければ」(市幹部)と戸惑いを隠せない。
手続きの第一段階となる総務相への「申し出」では、赤字の分析など再建計画の下地となる資料の提出が求められる。だが、同市は目下、06年度事業見直しにかかりきりで、資料作成は未着手のまま。さらに地方債の発行制限で大幅な財源不足が生じ、当初来年度以降と考えていた公共料金の引き上げも「やらないわけにはいかない」(同)状況だ。
一方、道は、当初予定より早く再建団体に移行することで、赤字拡大を防げると期待する。8月中に再建計画のベースとなる05年度決算の赤字額を確定させ、同市に早急な再建計画策定を促す方針だ。【横田愛、有田浩子】
毎日新聞 2006年7月26日