水谷建設(三重県桑名市)の脱税事件で、東京地検特捜部は14日までに東京電力(東京都千代田区)の元会長(75)から任意で事情聴取した模様だ。水谷建設は00年に東電福島第2原発(福島県楢葉町など)の残土処理事業を下請け受注した際、孫請けへの外注費名目などで所得隠しをしたとして、03年に国税当局から追徴課税された。特捜部はこうした不透明な資金の流れを巡り、東電側の発注経緯について元会長から説明を求めたとみられる。
聴取された元会長は、99年まで社長、02年まで会長を務め、現在は同社顧問。水谷建設は00年、福島第2原発の隣接港から土砂約60万立方メートルをさらって同県小高町(現南相馬市)の山林に運ぶ同事業を、前田建設工業(千代田区)の下請けとして約60億円で受注した。この際、港区の建設会社への外注費約2億4000万円や千代田区の出版社へのコンサルタント料約1億2000万円については所得隠しと認定され、名古屋国税局から約1億3000万円を追徴課税されている。
特捜部は、既に東電担当者や前田建設工業幹部らから事情聴取し、東電側の発注額が適切だったかどうかも含め、同事業を巡る資金の流れの解明を進めている。
毎日新聞 2006年8月14日