日銀の水野温氏審議委員は2日、福岡市内で講演し「年内の追加利上げはないと誤って解釈され長期金利が低下するリスクがある」と述べた。日銀は7月のゼロ金利解除後、ゆっくりと金利水準を引き上げていく姿勢を示しているが、年内の追加利上げもあり得ることを示唆したとみられる。
水野氏は「企業の投資行動の一段の積極化が顕現化する可能性は高まってきた」と、景気が日銀の想定以上に上ぶれるリスクを指摘。低水準の金利が、資産インフレなどを発生させることへの懸念を示した。
講演後の会見でも同氏は「年内の利上げがないとは言っていない」と強調したが、「10月の展望リポートで市場参加者と景気の見方や見通しなどを共有してから動いてもいいのではないか」と、10月まで利上げはないとの考えも示した。【平地修、柳原美砂子】
毎日新聞 2006年8月2日