福島県発注工事を巡る談合事件で、佐藤栄佐久知事の実弟で衣料メーカー「郡山三東スーツ」(同県本宮町)社長の佐藤祐二容疑者(63)=競売入札妨害容疑で逮捕=が、東京地検特捜部の調べに対し、工事を落札した東急建設(東京都渋谷区)側から現金数百万円を受領したことを認めていることが分かった。しかし、現金の趣旨は談合調整の謝礼ではないとして、容疑は否認しているという。特捜部は祐二容疑者をさらに追及する。
祐二容疑者は、東急建設東北支店元副支店長で現嘱託職員、門脇進(63)▽元県土木部長で財団法人・県建設技術センター元理事長の坂本晃一(65)の両容疑者=ともに同容疑で逮捕=らと共謀。阿武隈川の流域下水道整備工事(04年8月20日入札)で談合した疑いで逮捕された。
この工事は、知事の支援者で空調設備会社社長、辻政雄被告(59)=同罪で起訴=が東急建設側から受注調整の依頼を受け、落札業者に選定。辻被告に受注調整の謝礼金を提供した東急建設側が、辻被告の求めに応じて、祐二容疑者にも現金数百万円を渡したことが既に判明している。
この現金について特捜部が追及したところ、祐二容疑者は「談合の謝礼として受け取ったものではない」と説明。「私は談合には一切かかわっていない」と容疑を否認し続けているという。
事件では、東急建設と共同企業体を組んで同工事を落札した地元大手の佐藤工業(福島市)会長、佐藤勝三容疑者(67)も8日に逮捕されており、特捜部の調べに容疑を全面的に認めた。祐二容疑者の関与については「(祐二容疑者が)逮捕されれば話す」と話しているという。
毎日新聞 2006年9月26日