【パイレーツ3-7ツインズ】 桑田が生き残った。マイナー契約の招待選手としてパイレーツのキャンプに参加している桑田真澄投手(38)は17日(日本時間18日)当地でのツインズ戦に6回から3番手で登板。得点圏に走者を進めながら、粘りの投球で1回を無失点で切り抜けた。首脳陣は次回も登板機会を与えることを明言。“オールドルーキー”は開幕メジャーの可能性がある限り、最後まであきらめるつもりはない。
自らを救ったのは日本で21年間培った“経験値”だった。安打と四球などで1死二、三塁のピンチ。8番カシーヤを狙い通りの二ゴロに仕留めると、二塁を飛び出した走者を見逃さない。「セカンド!」。桑田の大声での指示に一塁手が二塁へ転送。最後はこれを見て本塁を狙った三塁走者をアウトにして、併殺で切り抜けた。
聖パトリックデーで緑の帽子をかぶった桑田は登板前にモニターで球審の両サイドの判定が厳しいことをインプット。コーナーよりも低めにボールを集めることを意識した。修羅場をくぐり抜けてきたベテランならではの投球。「失点=マイナー落ち危機」の“背水マウンド”で、求められる結果を残した。
9日の登板で捻挫した左足首は万全ではない。キャンプ唯一の完全休養日だった13日もただ1人球場を訪れ、最新治療器具などで患部をケアした。「カーブは案外、足首を使うんです。だからボールで使うことしか頭になかった」。自身最大の武器を見せ球にして、最速85マイル(約137キロ)の直球で仕留めてみせた。
週明けの19日は3度目のマイナー通告(カット)があるが、トレーシー監督は「次もメジャー相手。もっと適応力を見たい」と桑田が“対象外”であることを示唆。コルボーン投手コーチは「3日間は休ませる」としており、次回登板は松坂が先発する21日のレッドソックス戦が有力となった。
さらなる“追い風”は昨季72試合に登板した救援のグラボウが左ひじ痛を訴えて離脱。投球再開のメドはたっておらず、残り1枠とみられていた開幕メジャーのサバイバルレースが2枠に増える可能性が出てきたのだ。
「いいところに投げればアウトにできるという確認作業が毎回できている」。キャンプ当初12人いた招待選手は半分に減った。依然として厳しい状況に変わりはない。それでも左足首痛を乗り越え、結果を残した38歳の表情は明るかった。
スポーツニッポン 2007年3月19日