人気携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」向け小型液晶の納入を巡り、シャープ(大阪市阿倍野区)と、日立製作所子会社の日立ディスプレイズ(東京都千代田区)の2社が価格カルテルを結んでいた疑いが強まり、公正取引委員会は28日、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで2社の本社などを立ち入り検査した。06年12月にテレビやパソコン用の液晶での国際カルテル疑惑が浮上したが、その調査の中で、今回のカルテル容疑が発覚したとみられる。
関係者によると、DSの製造元の任天堂(京都市南区)は、04年12月の発売当初、シャープ1社から調達していたが、05年2月に日立ディスプレイズも加えた。日立ディスプレイズは低価格を提示して納入に成功したとされるが、任天堂からの価格引き下げ要求に対し利益を確保するため、値下げ幅を抑えるためにカルテルを結んだとみられる。シャープ製は全体の約7割を占めていた。
公取委は06年12月、テレビやパソコン用TFT(薄型トランジスタ方式)液晶パネルの販売で、国際的な価格カルテルが結ばれていたとして、韓国の公取委や米司法省などと連携。シャープやセイコーエプソン(長野県諏訪市)、サムスン電子(韓国)、友達光電(台湾)など約10社に営業資料などの報告命令を出している。
シャープは大阪府堺市で、大型液晶パネルを製造する新工場を09年度から稼働させる予定で、液晶事業の強化を図っている。ソニーと合弁会社を設立し、共同生産する。日立ディスプレイズの親会社・日立製作所は、松下電器産業などとパネル事業で提携する方針を固めている。【斎藤良太、奥山智己】
【ことば】ニンテンドーDS 上下二つに液晶カラー画面が付いた折りたたみ式のゲーム機。画面をタッチペンで触れ文字を書く機能などで人気を呼び、脳トレーニングのソフトがヒットしたほか、教育現場でも使用されている。04年12月の発売開始以降、国内累計販売台数が2000万台を超え、米国や欧州などでも好調な売れ行きを見せている。