厚生労働省が4日発表した2014年の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、従業員1人当たりの月平均の現金給与総額は前年比0.8%増の31万6694円だった。10年(0.5%増)以来4年ぶりにプラス転換し、伸び率は1997年(1.6%増)以来17年ぶりの高さとなった。ボーナスが比較可能な91年以降で2番目に高い伸び率だったほか、昨年の春季労使交渉で基本給を底上げするベースアップが広がり、9年ぶりに基本給にあたる所定内給与が下げ止まったことが寄与した。
オフィスに向かう人たち
一方、現金給与総額から物価上昇分を除いた実質賃金は2.5%減と3年連続で減少した。減少率は91年以降では米リーマン・ショック後の09年(2.6%減)に次ぐ2番目の大きさ。昨年4月の消費増税や日銀が掲げる2%のインフレ目標により、賃金の伸びが物価上昇に追いついていないことが改めて浮き彫りとなった。
調査は従業員5人以上の約3万3000事業所が対象。パートタイム労働者が増加傾向にあり、現金給与総額はピークだった97年の37万1670円を5万4976円下回った。現金給与総額を就業形態別でみると、正社員などフルタイムで働く一般労働者は1.3%増の40万9860円と2年連続で増え、パート労働者は0.4%増の9万6979円と2年ぶりに増加した。
所定内給与は前年比横ばいの24万1357円と、05年(0.2%増)以来9年ぶりに下げ止まった。ボーナスにあたる特別給与は3.5%増の5万5647円と2年連続のプラスで、91年(5.7%増)に次ぐ高い伸び率だった。残業代などの所定外給与は3.1%増の1万9690円。
併せて発表した14年12月の現金給与総額は前年同月比1.6%増の55万1878円と10カ月連続で増加した。所定内給与は0.3%増の24万1372円で2カ月ぶりのプラス。冬のボーナスなど特別給与は2.6%増の29万159円、所定外給与は0.5%増の2万347円だった。一方、実質賃金は1.4%減と18カ月連続で減少した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕