財務省が9日発表した2014年の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は2兆6266億円の黒字だった。黒字額は前年比18.8%減少し、現行基準で統計を遡ることができる1985年以降で最少となった。円安進行で企業の海外での投資収益を示す第1次所得収支の黒字が過去最大となった一方、貿易赤字が過去最大となり、経常黒字は低い水準にとどまった。
14年の貿易収支は、輸送の保険料や運賃を含まない国際収支ベースで10兆3637億円の赤字。赤字額は前年比18.1%増加し、比較可能な1996年以降で最大となった。貿易赤字は4年連続。輸入額は10.3%増の84兆4862億円で、過去最大だった。液化天然ガス(LNG)や半導体等電子部品などが増加し、5年連続で輸入額が前の年を上回った。一方、輸出額は9.3%増の74兆1225億円となった。自動車や科学光学機器などが増え、輸出額は2年連続で前の年を上回った。
サービス収支は3兆932億円の赤字。赤字額は13年の3兆4786億円から縮小した。項目別にみると、「知的財産権等使用料」が1兆6948億円の黒字と黒字額は比較可能な96年以降で最大。また訪日外国人観光客数の増加を背景に「旅行収支」が1251億円の赤字と赤字額は13年の6545億円を下回り過去最少となった。
第1次所得収支は18兆712億円の黒字。黒字額は前年比9.7%増加し、07年(16兆4818億円)を上回って比較可能な1985年以降で最大となった。円安進行により、企業が海外事業への投資で受け取る配当金や海外証券投資で得られる債券利子が増えた。
同時に発表した14年12月の経常収支は1872億円の黒字だった。経常黒字は6カ月連続。13年12月は6799億円の赤字だったが、黒字転換した。貿易赤字は3956億円で、赤字額は前年同月比63.1%減少した。第1次所得収支は1兆173億円の黒字で、黒字額は12月としては過去最大だった。〔日経QUICKニュース(NQN)〕