名古屋市は9日、65歳以上の高齢者が負担する介護保険料で、低所得者の負担軽減策を盛った介護保険条例の改正案を市議会の2月定例会に提出した。来年度から生活保護の受給者らを対象に保険料を従来に比べ月額90円抑える。高齢化で介護費が膨らんでおり保険料は全般的に上がるが、今回の軽減策が実施されれば低所得者の負担は軽くなる。
介護保険料は各市町村で異なり、来年度は3年に1度の見直し時期。来年度から3年間の介護保険料に関する条例案を市議会に出した。基準となる月額保険料は5894円と今年度より454円上がるが、低所得者の軽減策も盛った。
軽減策の対象は、生活保護の受給者や、公的年金収入などが計80万円以下の人など10万人強。軽減策は新しい基準の保険料から60%軽減し、今年度より90円安くなる。現行の軽減率の55%を適用すると負担が約200円増えるため、軽減策の拡充が必要だった。
国はかねて10%への消費増税を財源に低所得者負担を軽減する方針で、市でも昨年11月、国からの交付金などを使い70%軽減する案をまとめていた。だが増税が延期。国は当初の軽減策の完全実施を17年度に先送りし、15年度に一部実施する方針に改めた。市も見直しを迫られていた。
市はもともと12年度からの介護保険料で、所得の多い人の負担を重くする一方、生活保護受給者らでは55%軽減している。60%軽減は、国の軽減策の一部実施で得られる交付金などを使って実現する。国が標準とする55%軽減も上回る。