介護福祉士になるには…
介護福祉士の希望者が激減した。1月にあった介護福祉士の国家試験への受験申込者数は前年度から半数に。新たな受験資格に450時間の実務者研修が加わったことが主因とみられる。高い技術を求めて待遇改善につなげる狙いだが、慢性的な人材不足にあえぐ現場には不安も広がる。
特集:介護とわたしたち
介護福祉士の国家試験は年1回で、1月に筆記、3月に実技が行われる。受験申込者数は例年14万~16万人台で、2015年度は16万919人。ところが16年度は7万9113人と落ち込んだ。合格率は例年6割程度で、新しく資格を得る人も大きく減りそうだ。
16年度は介護施設などで3年以上の実務経験を積みながら国家試験合格をめざす「実務経験ルート」の受験条件が変更。新たに450時間の実務者研修が加わった。このルートは資格取得者の9割近くを占める。
研修の多くは通信教育で受けられるが、約45時間分の介護技術に加え、たんの吸引法などの医療的ケアも養成施設で学ぶ必要がある。研修は最長で半年かかり、10万~20万円の費用負担もいる。厚生労働省は職員が研修を受ける際の代替職員を雇うための助成制度などを始めたが、実施は24都道府県どまり。代わりの人が見つからず、研修を受けにくい背景も浮かぶ。
東京都内の特別養護老人ホームでは、受験を予定していた職員1人が研修を修了できずに見送った。「本人に強い意志がないと難しい」と施設長。兵庫県宝塚市内の特養では、受験者が15年度の半分の3人にとどまる。担当者は「パートタイムで働いて、どうにか受験資格の従事日数を満たしていたような人は、受験しなくなる」と懸念する。
資格がない職員でも、研修など…